2021年 2月23日(火)に開催されました第19回大会で発表された27演題の中で、以下の演題が優秀発表賞として選出されました。

箱根駅伝出走選手と非出走選手のエネルギー代謝能力の比較
〇 丹治史弥、西出仁明、栗原 俊、両角速、宮崎誠司(東海大学)

本研究は東京箱根間往復大学駅伝競走 (箱根駅伝) に出走した選手と非出走選手のエネルギー代謝能力を比較することで、箱根駅伝出走選手のエネルギー代謝能力を明らかにするとともに、男子大学生トップ長距離選手におけるエネルギー代謝能力と走パフォーマンスの関係を明らかにすることを目的とした。9名の箱根駅伝出走選手 (箱根群) および7名の非出走選手 (非箱根群) を対象とした。走パフォーマンスは5000mおよび10000mのシーズン (2020年7月 2021年1月) 最高記録をIAAFスコアに換算し、高い値を採用した。箱根群は非箱根群よりも高い最大酸素摂取量 ( O2max; 78.9±6.1 vs 73.7±7.2 mL/kg/min; d = 0.77; P < 0.05) および優れたRE (0.93±0.07 vs 1.04±0.10 kcal/kg/km; d = 1.27; P < 0.05) を示した。乳酸性作業閾値 (vLT) は両群で大きな差が認められたものの有意差が示されず、最大血中乳酸濃度 (LAmax) は差が認められなかった。走パフォーマンスは O2maxとの間に有意な相関関係が認められた (r = 0.59; P < 0.02) 一方、RE、vLT およびLAmaxとの間に有意な相関関係は認められなかった。これらの結果から、箱根駅伝に出走する選手にとって O2maxおよびREは重要な能力であり、かつ O2maxの優劣が男子大学生トップ長距離選手の走パフォーマンスに強く関係すると示唆された。

key words 長距離走パフォーマンス、最大酸素摂取量、ランニングエコノミー

丹治先生をはじめとした先生方、おめでとうございました。
なお、受賞を記念して、その抄録も掲載させていただきました。

来年度開催の第20回大会においても、多くの研究発表がなされ、活発な議論がなされることを期待しております。