ご挨拶

日本陸上競技学会 会長退任のご挨拶

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2002年10月の日本陸上競技学会発足から今秋で21年目を迎えることになります。学会発足当時の記憶が断片的になるほどの多くの時間が過ぎました。2000年を過ぎた頃から関岡康雄先生、澤木啓祐先生、澤村博先生といった当時の日本学生陸上競技連合の重鎮達の命を受けて、学会創設に向けて動き始めました。あまり乗り気でなかった私は、幾つかの理由を盾に、こっそりこの計画をフェードアウトさせようとしていました。しかし、皆さんも予想できるであろう重鎮達の叱咤激励を受けて、当時筑波大学の技官であった安井年文先生(青山学院大学)と渋々準備を進めました。二人で、国内の陸上競技の研究者やコーチに片っ端から入会案内を送った記憶があります。その結果、200名ほどの賛同者を得て、学会としての体を創り上げることができたのでした。

学会の目的を「競技スポーツ・生涯スポーツとしての陸上競技を理論的に実践し、トレーニングやコーチング現場で生じる諸問題について科学的解明とその研究成果を活動現場に還元するということで、競技力の向上に資すること」としました。初代の関岡会長、澤木会長、澤村会長、そして私とバトンを繋ぎ、目的達成のための活動を展開してきました。コロナ禍で学会大会の1回の延期はありましたが、ここまで21回の学会大会の開催、20回の「陸上競技学会誌の発行」、著書「陸上競技のコーチング学」の刊行を主な活動実績として挙げることができます。

20年が過ぎようとしている今、ここまでの学会活動の評価点検も必要です。本学会の目的である「競技力の向上に資すること」という観点から見ると、概ね目的は達成されたと思えます。最近の国際大会である2021年東京オリンピック、2022年オレゴン世界陸上では、それまでの特定の種目だけではなく、歩・走・跳・投の多くの種目で世界で戦えるレベルに到達しており、競技力は着実に向上していると言えます。その要因の一つとして、コーチング現場での情報・医科学サポートの有効活用が挙げられ、そこでは学会活動等により積み上げてきた研究成果が活用されたと言えます。これからは競技力向上のみならず、陸上競技で社会的課題を解決するというSDGsの要素を学会活動の目的に含ませ、陸上競技の価値を高めていく活動も必要であると言えます。

青木和浩新会長を中心に会員の皆様の力を結集して本学会の発展に尽くしていただくことを願っています。最後に、これまで支えていただきました多くの会員の皆様、そして学会大会を開催していただきました各大学の皆様に心から御礼申し上げます。

日本陸上競技学会 新会長挨拶

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日本陸上競技学会は、2002年に創立されました。現在、第8期となり21年目を迎えております。今期より日本陸上競技学会の会長を拝命いたしました青木和浩と申します。初代会長の関岡康雄先生、2代目会長の澤木啓祐先生、3代目会長の澤村博先生、4代目会長の尾縣貢先生という素晴らしいご功績を残された諸先生方から会長職を引き継ぎ、大変光栄であると同時にその重責を感じております。今期では、副会長に杉田正明先生・安井年文先生・青山清英先生、理事長に森丘保典先生という体制で学会運営をすることになりました。自身の至らない点も役員の先生方の協力を得ながら学会の発展を目指したいと考えております。

東京2020オリンピック・パラリンピック大会を契機にスポーツの多様性やコロナ禍におけるスポーツの在り方など、様々な問題提起がございました。本学会におきましても、変動する社会において新たな視点での取組も踏まえ、学会をさらに進化していきたいと考えております。

本学会の目的は「陸上競技に関する理論的・実践的研究の発展をはかり、会員相互の交流を促し、これによって実践に資すること」となっております。「コーチングの現場と研究の融合」を掲げ、陸上競技の競技力向上のみならず普及や教育など様々な分野に貢献すべく、これまでに学会大会の開催や機関誌「陸上競技学会誌」の発刊など、創立当初の理念を継承し、我が国の競技力向上に微力ながら貢献を果たしてまいりました。今後は、競技力向上の研究の中で得られたエビデンスを普及や教育にも応用した取組も大切であると考えております。具体的は、陸上競技を専門とされていない方や運動が苦手な方へ走跳投の指導など、幅広い領域を対象にしていきたいと考えております。

21年目を迎え、新たな視点も加え、本学会が我が国の陸上競技界に微力ながら寄与できるよう、努力していく所存であります。会員の皆様には、これからも本学会の発展のためにお力添え頂ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

日本陸珠競技学会 新理事長挨拶

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2002年10月に発足した本学会は、学会大会の開催と学会誌の発刊を2本の柱としながら、陸上競技に関する研究の発展と会員相互の交流を図ることによって「実践」に資するという役割を果たしてきました。私自身も学会の設立当初より理事を務めて参りましたが、設立から20年が経過し、文字通り成人期を迎えたなかで、第8期の理事長という重責を担うこととなり、改めて身の引き締まる思いです。

ウィズコロナ・ポストコロナの文字も散見され、スポーツ界の活動も少しずつ平常運転を取り戻しつつあるなか、2025年には、1991年の東京大会、2007年の大阪大会以来3度目となる世界陸上競技選手権大会を我が国で開催することも決定しています。一方で、学校運動部活動の地域移行化の動向など、スポーツ、そして陸上競技を取り巻く環境も大きく変化していくことが想定されるなか、多くの新たな課題も提示されています。これらのことは、この第8期の3年間が、日本陸上競技連盟が掲げる「国際競技力の向上」と「ウェルネス陸上の実現」という2つのミッションの達成に向けて、学会の設立趣旨にある「陸上競技の実践現場の課題を理論的・実践的に研究し、研究の成果を現場に還元すること」を通した「陸上競技の更なる飛躍、発展」を求められる極めて重要な期間となることを示唆しているといえます。

本学会が、「一人でも多くの人が陸上競技を楽しみ、そして関わり続ける」ための研究と交流、言いかえれば陸上競技に関する「理論の実践化」と「実践の理論化」にとって最適な場となるよう鋭意努力する所存ですので、会員の皆様のお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。

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